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  鍋横物語
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第1章
第2章
第3章
1 道・街道・道路
2 商いを通して見た街
3 空き地は社交の場
4 まちの情景・風物
5 まちが変わる ―関東大震災・第二次世界大戦によって―
6 歴史を移す≪お題目石の移設≫
7 歴史を掘る≪転車台の現れた日≫
8 懐かしくありませんか?
 
 第4章


6 歴史を移す 


 

≪お題目石の移設≫

 
 鍋横交差点の角(本町4−30)お店とお店の間に明治11年建立のお題目石がありました。元は青梅街道にあったものを、昭和5年の拡幅時に土地の所有者のご好意でこの場所に移されました。平成14年1月にこの場所にマンションが建設されるという話がありお題目石の行く末が案じられ、土地の所有者に「お題目石はどうなりますか」と今後について聞きました。


取り壊される前の東横喫茶店とその横に立つお題目石



鍋横道しるべに記されている文字


 このお題目石は建立以来125年の歴史があり、鍋横のシンボルとして中野区の資料にも載っています。その裏側には鍋屋の銘があり、この辺りに鍋屋があったという証でもあります。
 「機械でガシャンと壊したりしないで、丁寧に取り扱い出来ればマンションの片隅に置いてほしい」と申し入れたところ、「希望に添えないかも・・・。」といわれ、今後の移転場所を考えることになりました。
 地域の文化財的な存在ではあったが所有者がはっきりしないと移転先の特定や文化財としての認定の申請ができないといわれ、保存会を立ち上げることにしました。鍋横町会長の江藤利雄氏を代表とする「鍋横道しるべ保存会」を設立しました。保存会で移設場所について話合い次のような案がでました。@横地域センターに暫定的に預かってもらい、消防署跡地に施設が建設された際に、隅においてもらう。A鍋横分室の庭に設置する。B歴史民族資料館に移設する。C縁の妙法寺に移設する。以上を検討した結果、@A案については、石の前面に彫られているお題目の文字が宗教色が強いのではと思われ、憲法89条に該当する可能性があることで区の施設には設置できないことになりました。B案については、地域からあまりにも離れた所になるため関わりが薄くなるとの意見がありました。C案については鍋屋横丁が古くから妙法寺の参詣道の入り口として栄えたまちであると同時に、現在も初詣や縁日、厄落としに詣でたりと馴染みが深く地の利の関係も良いという意見が多く、妙法寺に移設するのが望ましいという結論に達しました。その結果、妙法寺との交渉にあたり、移設について快諾をいただきました。「道しるべ」もやっと移設の地が決まり安堵したことでしょう。
 3月18日に移設の式典を行い各町会長、保存会のメンバー地域の方々が出席しました。そして石屋による移設作業が始まり、無事に妙法寺に運ばれていきました。この様子は14年3月21日の“シティーテレビなかの”で放映されました。



移動する道しるべ


関係者がそろった移設式



 10月12日に妙法寺では「日蓮上人生誕750年」ということでお題目宝塔建立記念の式典が盛大に執り行われました。それに合わせて「鍋横道しるべ」も敷地内に設置されました。


妙法寺に移った道しるべ



 鍋横の地に道しるべがあったということを残すために解説板を設置することにしました。
 道しるべの移設及び解説板設置にかかる費用は「道しるべ保存会」を通して、皆様からご協賛をいただきました。
 それにより12月10日に解説板を区道上に設置することができました。


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