(1) 時代劇スターに胸がドキドキ
語り部:能勢小夜子(大正15年生)
中野警察から杉山公園寄りに城西館があり、松竹下加茂や大船の映画を上映していました。「雪之丞」の林長二郎、「愛染かつら」の田中絹代、桑野通子、森川まさみ、「浅草の灯」の高峰三枝子、時代劇の坂東好太郎、高田浩吉、川浪良太郎と懐かしい顔が浮かんできます。満員で通路に座って見たこともあります。
休憩時間に「おせんにキャラメル」と籠を胸に下げて売り子さんが回っていました。どの映画館も小さくて、トイレの臭気も感じられるような小屋でしたが、人々の憩いの場所でした。
追分通りには中野館がありました。日活映画が上映されていました。「呑気眼鏡」の杉狂児と轟由起子、「土」の山本嘉一と風見章子、「宮本武蔵」の片岡千恵蔵と宮城千賀子、坂妻や嵐寛の時代劇には胸がどきどきしましたっけ。
昭和初期の中野館
昭和5年の中野区の地図に載っている映画館の広告
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