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  鍋横物語
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第1章
第2章
1 青梅街道界隈
2 道標のミステリー
 (1) 道標の裏に「鍋屋」の証し!
 (2) 距離のなぞ
 (3) 文字の解読
3 堀之内街道沿い
4 十貫坂周辺
5 神田川
6 洋館
7 いろいろな商売
8 懐かしの映画館
9 神社
10 本の中にみる”鍋横”の記述
 
第3章
第4章


(3) 文字の解読


 1世紀頃から漢字が伝えられましたが、日本語と構造上の違いなどから、その用い方にいろいろの工夫がされたり、日本文を現すのに漢字だけでは対応できないため、漢字を仮名に簡略化して用いるようになりました。その過程で原字からは想像もできない平仮名を作り上げたのです。
 『古筆かな字艦』を見ると、は、(保・報・本・賓・奉)の略で変態仮名の(小野道風筆)、元暦萬葉集(げんりゃくまんようしゅう))、源氏絵巻詞書(げんじえまきことばがき))が使われたと思われます。(部・邊・弊・倍・遍)の略で、 (小野道風筆)、(源頼政筆)、(元暦萬葉集)に似ています。これらのことから「ほりの内へ」と刻まれていると解読してみました。

 これに対し、の解読について次の意見をいただきました。


 道標の写真を拝見しましたところの文字の最後の一回転がどうもはっきりせず、むしろ折り返して右下で止め、という筆の運びになっている様に見えます。そこで児玉幸多編『くずし字用例辞典』で道を引きましたところ、「筆の運び」「最後の部分の右下の止め」など用例()に近く、私は「ほりの内道」と読んだ方がよいのではと考えました。

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