(1) 思い出がいっぱいつまったまち
語り部:小野仁子(昭和4年生)
昭和14年、小学4年生の時に引越してきて以来、鍋横に住んでいます。戦前の鍋横は中野銀座と言われるほどとてもハイカラで、青梅街道には夜店が出たりと、子ども心にもピカピカときらびやかだった印象があります。その頃、鍋横交差点にあった「東京パン」の上のフルーツパーラーでアイスクリームやフルーツポンチを食べるのが楽しみでした。
私の家は、そんな賑やかな街道から道一本奥に入った氷川神社に近い所ですが、この辺りは海軍中将の立派なお宅もあったお屋敷町でした。家の隣には、祠のあるカヤの大木があったりと、緑が多く静かな落ち着いた風情がありました。近所に石炭ガラを積んだ石炭山があって、男の子たちが登って遊んでいると「危ないよ」とよく注意されたものです。
氷川神社には大きなケヤキの木が多く、夏になるとサヤサヤした風の音に誘われて、ゴザを敷いて昼寝でもと思ったものですが、いつも境内や近くの崖で遊ぶのに夢中でしたよ。
|