(7) 芝居小屋
語り部:長谷川まつ江(大正6年生)
昭和25年に現住所に越してきました。周囲は原っぱで、家の前(本町4-19)に芝居小屋がありました。古いけれど立派な建物で、舞台も大きく2階にも客席がありました。主人の妹が日舞の師匠をしていたので芝居がない時は、小屋を借りておさらい会を開いたりしました。娘が8歳の時(昭和26年)そこで踊りました。楽屋も広く大きな鏡が、珍しかったですね。
芝居は半月ごとの上演で、次から次へと旅役者の一座が興行していました。娯楽の少ない時代だったので、客席はいつも一杯でしたよ。夢中になっている人は毎日通って、おひねりを投げたりしていました。役者さんは、家族で芝居小屋に寝泊りして、近所の風呂屋にも通っていたようです。確か昭和35年ごろまであったでしょうか。
その頃、「ひかりや」という食堂を始めました。夏はかき氷、冬はおでんと簡単なものですが、役者さんが食べに来たり、ごひいき筋が「役者さんに差し入れて」と、利用してくれました。特に思い出にあるのは夏に浴衣姿で縁台に腰掛け、かき氷を食べている役者さんの姿ですね。
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