本文へジャンプ
 
  鍋横物語
ホーム 施設案内 地域ニュース 運営委員会の活動 組織 地域団体紹介 リンク集
第1章
第2章
第3章
1 道・街道・道路
2 商いを通して見た街
 (1) 昭和初期の食料品店
 (2) 庭に残る石臼
 (3) 四つ目垣根に囲まれた植木場
 (4) 印刷ひとすじ
 (5) 美容室のお正月風景
 (6) 鍋横市場とせんべい屋さん
 (7) 芝居小屋
 (8) 質屋の利用も気楽に
 (9) 自動車修理も数少なく
 (10) ラジオは注文を受けてから
 (11) 花に囲まれて幸せ
3 空き地は社交の場
4 まちの情景・風物
5 まちが変わる ―関東大震災・第二次世界大戦によって―
6 歴史を移す≪お題目石の移設≫
7 歴史を掘る≪転車台の現れた日≫
8 懐かしくありませんか?
 
 第4章


(8) 質屋の利用も気楽に

語り部:石川 久子(大正4年生)


 

 生後まもなくから、ずっと鍋横に住んでいます。父が質屋を営んでおり、子どもの頃、暮れになると正月用の着物を出しに来る人が多かったですよ。包んであった和紙をたたむのを妹と競争で手伝いました。大晦日は特に忙しく、午前2時まで店を開けてましたね。預かった品物は、10円以上は2階、10円以下は1階に保管してました。
 昭和30年、父が亡くなり私が店を継ぐことになりました。昭和49年まで何とか続けてくることができましたが、お客さんが来るたびにドキドキしたものです。着物はまだいいのですが、時計等は見ても分からず、「今、主人が留守で・・・」などとごまかしました。
 一度、金の指輪型印鑑を6,000円で預かったら、後で500円くらいの価値だと分かって大損しました。質屋というと、何か行きにくい所と思うかもしれませんが、当時、学生や近くの人でも、その日の飲み代のためなど気楽に利用していたんですよ。鍋横にも質屋がたくさんありましたが、今は少なくなりましたね。


 
廃業した現在も当時の蔵は残されています。
蔵の側面の通風孔はその扉の厚さからも頑丈さが伺えます。

 

    copyright©2013鍋横区民活動センター運営委員会 all rights reserved.