(1) 本郷氷川神社(本町4-10)
中田憲文・談
文明元年(1469年)、太田道潅が江戸城鎮護のため、武蔵の国一の宮大宮永川神社の神霊を、本郷と雑色(現在の弥生町にある氷川神社)に勧請分祀したものです。徳川幕府開設後は、本郷村の鎮守社となりました。素戔鳴尊を祀っています。昭和20年5月25日の大空襲によって、社殿その他の建造物を失ってしまいましたが、昭和30年9月に社殿を再建し、昭和33年9月に神楽殿と社務所を新築しました。南の道に面した鳥居には、「文政五年壬午五月吉日 京橋 願主 治郎吉」と刻まれていますが、この次郎吉は、義賊として有名なねずみ小僧ではないかと言われています。
社殿前には天保4年(1833年)と刻まれた一対の狛犬がありますが、よく見ると親子の姿で、片方は乳を飲ませ、もう一方は頭をなでている様子がほほえましく思われます。
また、境内の西のすみに三体の庚申塔があります。一体は風化のため三猿のみが認められます。もう一体は三猿を踏んだ六臂の像であることがわかる程度でいつのものかわかりません。残る一体は、昭和45年1月21日に再建されたもので、これは、いく体かあった古い庚申塔を一括供養して建てられたものと思われます。
このほか、日本武尊(やまとたけるのみこと)を祀った御獄神社、大小二つの稲荷が鳥居の左手にあります。社殿裏には明治33年4月から2年4か月にわたる大事業であった本郷道の改修を記念した碑が建てられており、旧村の生活を物語っています。
大晦日には初詣を待つ人の列が神社坂下まで続き賑わい、元旦を迎え、富くじが配られます。
■祭礼 9月第1土・日曜日
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